« 2011年04月 | メイン | 2011年08月 »

2011年05月 アーカイブ

2011年05月06日

震災後〜母の日まで

先日日本テレビが取材に来ていました。
どのように編集をされているかは県境の福島県側の人間は見れないようですが。

震災後ガスはプロパンガスなので生活には支障はなかったのですが、電気が止まってしまい、

ちょうど温室のカーテンを閉めるかしめないかの時間ともあり、天窓までも全開でした。

その中での停電と来たもので、隣の建設業者から発電機をかりてきて、それを使って

閉め始めましたところ、電気が復旧しました。震災後2時間半のことでした。

送電線に大きなダメージがなかったのか、意外に早くの復旧に驚きを隠せませんでした。

方々に連絡を取りながら、情報収集をはかり初め、原発が大きな問題になっているという

ことがわかりました。最近分かったのは、全電源喪失は津波によるものではなく、

なにやら、夜ノ森の送電線用鉄塔が倒壊したために起こったものだったそうでは

ないですか。少しあきれてしまったものですが。

日常生活は送れるものの、温室カーネーション用の重油が供給を得られぬために

日長が長くなり、これから蕾を膨らませてくる時に、温度を低くする必要が出てきました。

4段サーモという、夜間を4つに区切り、暖房機の設定温度を変えられる装置があるの

ですが、植物は夜間の時間帯によって十分成長するときと寝ているときとあるのですが

それに合わせて温度を変化させることができる装置なのです。

この装置を使うことは省エネで非常に効率が良いです。

これを、メインとしている温室すべてに付け、重油を極力使わず、且つ、植物を休眠

させないようにと設置しました。

4月に入りある程度重油の確保ができるようになりましたが、やはり3月の2週間〜の

十分な加温は最終的に商品性の部分で響いてきてしまったところがあります。

また、地震などの揺れが前述したHI-NETの情報でもあまりにも頻繁に起こるがために

もともと細いカーネーションの根を痛めることになり、株自体のぐらつきの

発生も起きてしまったということは残念でした。ほかの産地よりもボリュームのある

商品を作っているので頭が重い分その辺が弱点になってしまっていました。

開花調整も十分にできなかったので咲きすぎてしまった商品と咲かない商品との

差が明白に出てしまいました。

そんな状況でも購入する側は当然母の日前に咲くのがカーネーションという

感覚なので、産直で3輪程度開花とつぼみの株を送っても『花が咲いていない』

というご意見。いろいろあります。

来年は7年の間で母の日が一番遅い年。それに合わせて品種選定、

生産スケジュール策定など、6月下旬までに行わなければならないので

いつまでも気が抜けません。

今回は多くの方に助けていただきました。今回住む家自体もなくしてしまった

方もいます。また、震災孤児になってしまった方もいます。そのような人たちの

ために少しでも今回応援いただいた方々からの売上金の一部を寄付したいと

考えております。微々たるものですが。

以下の会社様が今回販売をバックアップしていただきました。

第一園芸様
サカタのタネ様
プランツクリエイト様
グンゼグリーン様
ベネリック様
i879様
花工房まりか様
大井仙樹園様
日本総合園芸様
順不同

大変ありがとうございました。

2011年05月07日

ご来園者

先日の日本テレビを見て東京から夫婦で足を運んでいただいた方がいました。

産地直送や残務処理などで忙しく十分にお話ができなかったと社長が

悔しがっていました。お土産にカーネーションをお渡ししたそうです。

明日でしたらクレーム処理や温室の管理くらいなので比較的時間の余裕は

ありました。

地震後の重油供給のストップの影響で矢祭園芸だけでなく矢祭鉢物研究会でも

母の日が終わってから見頃のカーネーションも結構あります。

市場に勤めている友人から

『大分青々としたカーネーションがあったね〜』

と言われましたが・・・・。

鉢物カーネーションは母の日が終わると市場に出荷しても

二束三文程度になる商品で、非常に際どくシビアな農作物です。

毎年のことなのですが、残ったカーネーションは社会福祉協議会や

従業員さんにもらっていただいたり、たまに来る直接の個人の人に

販売したりしています。

続きを読む "ご来園者" »

2011年05月27日

トマトの件

明日は、六本木アークヒルズで販売会をしてきます。

さて、表題の件なのですが、以前より『サンマルツァーノ』っていったいなんだろうと

思っていたのですが、品種改良の世界史という本に書いてありました。

もともと加工用のトマトのようで、有名な品種としては『レ・ウンベルト』と

『サンマルツァーノ』とあったのですが、前者が1880年頃出現した

品種で、サンマルツァーノより早く世界中にばらまかれていた

ようです。

当のサンマルツァーノは1907年にイタリアでできた品種で、小さな村の

名前を冠している品種です。縦長の果実で、水分が少なく

ソース用としてはとても品質が良いものでした。

これが、アメリカに渡ったのですが、サンマルツァーノは

肥料を吸う力が強いので尻ぐされが起こりやすいという欠点が

あったそうです。

この欠点をクリアーした品種がアメリカで品種改良を行って

できた1955年の『ローマ』という品種だそうです。

サンマルツァーノにいちょう病抵抗としん止まり性を付加した

そうです。しん止まり性とは、サンマルツァーノは

草丈が伸び続ける有支柱型と呼ばれる品種ですが

ローマはコンパクトに収まる品種となったわけです。

採算重視の『ローマ』と品質重視の『サンマルツァーノ』の

戦いはローマに軍配が上がってしまいました。

サンマルツァーノの血筋はブラジルにもあったそうです

その血統の中で『サンタクルツ』という品種を生んだようで、

ローマに似た生食用の有支柱型の品種だそうです。

直接的な血筋ではないものの、親が似たようなものなので

遠い親戚程度だそうですが。

トマトの固定種の話を読んでいくと面白いものが

多い感じです。


出典:品種改良の世界史

About 2011年05月

2011年05月にブログ「矢祭園芸日誌R」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2011年04月です。

次のアーカイブは2011年08月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35